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年末調整のしくみ

サラリーマンも納税者の一人なので、本来は税務署に行って確定申告をすべきですが現行の所得税システムのもとでは、サラリーマンが税務署と交渉して税負担が増えたり減ったりすることはほとんどありません。なぜなら給与所得に対する税額は、ほとんど機械的に算出できるしくみになっているからです。

また、国民がみな税務署に押しかけると、税務署はすぐにパンクしてしまいます。このような事情から、サラリーマンに限っては源泉徴収義務者である会社に税額精算の事務を義務づけて、確定申告を省略することになりました。つまり年末調整とはサラリーマンの「プチ確定申告」です。

給与所得の金額は、前述のように年収からこれに連動する「給与所得控除額」を差し引いて決まるので、1年間に従業員に支払った給与額を集計すれば、半ば自動的に所得金額は計算されます。普通のサラリーマンは、勤務先が1か所でほかに収入のない場合がほとんどですので、会社は年末には各従業員の給与所得の金額を把握していることになります。

そこでそこから所得控除額を差し引けば課税所得金額が算出され、これに所得税の税率を乗じれば正しい年税額を算出できます。すなわち、従業員から所得控除に関する資料を収集するだけで年税額が確定でき、これといままで源泉徴収してきた税額の累計額とを比べ、不足があれば徴収し、超過があれば還付して税金の精算が完了します。

このように、年末調整は年末最後の給与の支払時に各従業員の源泉徴収税額が正しい年税額となるように調整する手続きです。

保険料控除申告書

さて、所得税では全部で4種類の所得控除が認められていますが、このうち控除が大きくなりやすく、不正処理による脱税の危険性が高いのは「雑損控除」、「医療費控除」、そして「寄付金控除」の三つです。

たとえば、医療費は最高で200万円まで所得から控除できるので、税務署員のチェックがない状況では領収書を改ざんなどされる可能性があります。ですから、これら三つの控除については、年末調整では一切控除を認めない(該当する人は必ず確定申告で控除を受ける)こととし、それ以外の11種類の控除については年末調整の計算に取り込み、下記のように従業員から提出される書類でその控除の有無を判定します。

◆扶養控除等申告書から

「配偶者控除」、「扶養控除」、「基礎控除」、「障害者控除」、「寡婦(寡夫)控除」、「勤労学生控除」

◆保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書から

「生命保険料控除」、「損害保険料」、「小規模企業共済等掛金控除」、「社会保険料控除」、「配偶者特別控除」

保険料控除申告書は、所得控除を受けたい従業員が自ら記入し、保険料の控除証明書や国民年金保険料の納付証明書などを添付して会社に提出します。

会社は、各従業員から提出されたこれら書類に不備がないかを確認し、保険料控除申告書については、たとえば生命保険料控除が5万円、損害保険料控除が3,000円というようにそれぞれの所得控除額を計算します。そして所得控除額の合計額を給与所得の金額から控除して課税対象額とし、正しい年税額を計算します。その年税額といままで源泉徴収してきた税額との差額を、最後の給料支払時に調整するのです。

年末調整は、その年最後の給料支払時に行なわないといけませんので、たとえば15日締め25日払いで給与を支給している会社は、12月16日から20日くらいまでの間に上記書類を回収して一人ひとりの年税額を計算しないと期日に間にあわなくなくなってしまいます。従業員の人数が少ないうちはいいのですが、増えるにつれかなりの事務作業量となりますので、きちんと計画をたてて、給与支払日に遅れないようにしましょう。


年末調整の目的

会社は、従業員に毎月支払う給料から所得税を源泉徴収します。その税額は「源泉徴収税額表」を参照して支払う給料の金額の当てはまる段を探し、その従業員が甲欄適用者か乙欄適用者か、甲欄の場合には扶養する親族の数は何人か、などのチェック項目を確認しながら該当する金額を選びます。

この「源泉徴収税額表」は、実物を見ればわかりますが、上記のチェック区分に応じて税額が10円単位で記載されており、とても細かく規定されています。なぜなら、毎月の税額の積み重ねが1年間の正しい税負担額にできるかぎりー致するように考えられているからです。

すなわち、その月の給料が1年間続いたものとした場合の年間の税負担額から逆算して、月々の源泉徴収税額は決められています。ところが残念なことに、源泉徴収した税額の累計額が最終的な正しい年税額とぴったり一致することはあまりありません。なぜなら年の中途で昇給があったり、結婚して扶養家族が増えたり、また予想以上(あるいは以下)の賞与をもらったというように、サラリーマンの税負担に影響を及ぼす出来事は色々起きるからです。

そこで給与所得に限って、各年の最後の給与支払時に正しい税負担額を勤務先の会社が精算する手続きが考えられました。それが「年末調整」です。サラリ―マンは自分の勤務先1社からの給与以外に収入がなければ、この制度により税負担の精算手続きを会社がやってくれるの で、自ら確定申告をする必要はありません。

 



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