税理士 紹介 HOME - 株式会社の仕組み
会社の意思決定や業務執行などを執り行う「機関の設計」は重要であり、会社法の目玉の一つともいえるでしょう。通常この機関設計は定款で定めることになります。株式会社の機関には、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計参与、会計監査人および委員会(執行役とセットとなる)が挙げられます。
株主総会は株式会社にとって必須の機関ですが、次のように様々な形での機関の選択が認められるようになりました。
(小規模の会社ではとられることのない監査役会、会計監査人および委員会は除く)
①取締役のみ
②取締役+監査役
③取締役+会計参与
④取締役+監査役+会計参与
⑤取締役会+監査役
⑥取締役会+会計参与
⑦取締役会+監査役+会計参与
従来は株式会社は①、有限会社は⑤の形式が基本でした。選択の多様性とともに「会計参与」という機関が新設された点が大きな特徴です。この「会計参与」というのは任意の機関であって、公認会計士、監査法人、税理士または税理法人のみにその資格が与えられます。
この様に沢山の形式があると、どのパターンで会社を設立するかと迷うと思われますが、特に定款で指定しない場合は①の形式であると定められています。また公開会社の場合、取締役ではなく取締役会を置くことになっていますので、自動的に①から④の選択肢は排除されます。一部の種類の株式でも譲渡制限を設けない「公開会社」は、この点に注意が必要となるでしょう。
上述したそれぞれの機関構成には、次のような特徴があります。
①取締役のみ
従来の有限会社と同様の仕組みです。株式譲渡制限会社であり、有限会社の感覚の小規模な株式会社であれば、これで差し支えないでしょう。
②取締役+監査役
監査役は、業務監査権限と会計監査権限を有します。従来の小規模会社では親族や知人を名目的に監査役として登記している例も多く、必ずしも会社の信頼性に直結しない部分もありました。勿論きちんと機能する監査役を置くことができればその限りではありませんが、名目だけとなるとその信頼度は①と大して変わりません。また、株式譲渡制限会社は原則として定款で監査役の権限を会計監査権限に限ることができます。
③取締役+会計参与
会計参与の職務は取締役と共同で計算書類を作成することです。信頼のおける有資格者である会計参与が会社内部にいて、計算書類の作成に関わることになることので、 ①や②よりも、計算書類の信頼性が高くなります。計算書類について対外的な信頼を得たい会社であれば、会計参与を加える組織形態も考慮の余地があるでしょう。
④取締役+監査役+会計参与
②と③の組み合わせであり、監査役と会計参与がいることから、③と同等以上の信頼性が得られるでしょう。
⑤取締役会+監査役
従来の株式会社と同様の構成です。従来と同様に、取締役会を設置する場合には3名以上の取締役が必要です。よって従来の株式会社と同程度の信頼を得たいのであれば、取締役会設置会社を選択する事になるでしょう。(取締役会を設置する場合は、監査役もしくは会計参与またはその双方を置かなければなりません。)
⑥取締役会+会計参与
取締役会設置会社は監査役を置かずに、会計参与のみを置く事が可能です。③と同様に、専門化が社内で計算書類作成に関わるので、その信頼度は監査役のみ置かれている機関構成よりも高くなるでしょう。
⑦取締役会+監査役十会計参与
中小会社においては、この機関構成が最も信用力を有しているといえるでしょう。
取締役会設置会社では、取締役会廃止、取締役の員数の際定数撤廃、等定款の変更をしなければなりません。また、従来の株式会社は特に定めなければ、上記の⑤の機関が設置されたものとみなされ、別の機関設計を設置したければ定款の変更を行なわなければなりません。
以前は「名前だけの取締役」や「取締役を辞任することで取締役会の人数が欠けてしまう」という様な事がありました。しかし現在の会社法では上述したように、取締役会設置会社を選択しなければ、取締役は1名でもよいので、この様な制約はなくなりました。
「有限責任事業組合」という新しい制度も会社法制定に基づいて導入されました。通称LLP (Limited Liability partnership)と呼ばれ、合同会社(LLC)と似た制度として注目を集めており、個人企業が連携して事業に取り組む際など、その活動の運営組織として最適なため、今後個人型の事業組合として活用が期待されています。有限責任であること、出資者それぞれの個性を尊重して、合意で決めるという点がLLCとよく似ています。
従来の民法に基づく組合は、組合員が対外的には無限責任であったため利用の制約が大きかったのですが、有限責任とされたことにより、組合が事業主体の一つの選択肢として利用の可能性が広がることになりました。
構成員(組合員という)は出資のみという形は認められず、それぞれが何らかの業務を行わなければなりません。その他、LLCと同様に出資比率ではなく、貢献度によって損益配分が決められます。また、課税が組織に対してではなく、組合員を対象にする構成員課税が適用されており、構成員の個性を生かすシステムになっています。
個人事業者や法人が集まって共同研究開発や共同生産、共同物流などの事業を起こそうというとき、あるいは税理士や弁護士といった専門家が集まり、共同でコンサルタント事業を立ち上げたいときなどには比較的向いている組織といえます。
LLPは契約で期間決める必要があり、会社のような永続性は前提として予定されていません。たとえば地域の法人が集まって一つの事業体を作り、そこ利益を蓄積し永続的な組織として発展させることを企図しているのであれば、LLCを選択する事になるでしょう。
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